| カテゴリー:雑記 | 2008年09月14日 |
日本の理想?「貧困大国アメリカ」
9月の3連休のなか日、一日自宅にいて、久し振りに良い本に出合った。
2008年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した、堤未果さん著『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書 700円)は、さすがにすごく勉強になった。
世界一の経済力や軍事力を誇るアメリカが、何故「貧困大国」なのか、日本が最大の盟友と言って憚らない、アメリカの現実とは?現在進んでいるその深刻な社会問題とは?を大変分かり易くレポートしてくれている。この本を読むと、現在の日本が向かっている方向やその危なさもくっきりと浮き彫りにされていて、入り組んだ糸が上手くほぐれたような気分になる。
誠実で地道なルポルタージュである。
徹底した市場経済主義を唱える経済学者をブレーンに、「構造改革なくして成長なし」と声高々に叫び、5年以上も、「小泉劇場」の郵政民営化を行なってきた人気者総理に、私自身は、どこか納得しがたい違和感を感じ続けて来た。しかし、堤さんのルポを読み進めると、当時の小泉・竹中ラインが推し進めてきた改革の狙いや行方が、大きな危険を含んだごまかし(片手落ちのご都合主義)だったと分かる。
構造改革による日本経済の成長の為と言うなら、本書で貧困大国アメリカとまで評されているアメリカだって、まさに自国の経済成長を考えて市場経済を推し進めて来たのだろうが、問題は、「誰の為の施策か?」と言う事である。
超人気の総理は、「規制緩和や民営化により国際競争力のある企業や個人を育て、努力する人々が報われる自由社会をめざす為には、少々の格差は致し方ない」と平然と言い放ったが、推し進めて来た市場経済主義は、構造改革の名の下に、これまた平然とワーキングプワーなど大きな格差を生み出しながら、規制緩和の恩恵に浴した大企業や資産家等の「勝ち組」の為の政治であり施策だったのは明白である。 さらに、それは日本やアメリカの自国内の格差問題に止まらず、グロバリズムの中で、他国を自国の都合の良いマーケットにする為の戦略そのものなのだという事まで分かる。(それは戦争ビジネスの市場でもある)
その顕著な例が、イラク戦争に派遣される兵隊の35%は外国人の傭兵であったり、民間の派遣社員(戦争請負会社が雇っている社員で国際法の適用外)と言う事である。勿論、格差社会の中で国内外の経済的に追い詰められた貧しい人々が中心のようである。
日本国内では、アメリカのような明らかな戦争ビジネスはないと思うが、ブッシュが行なった「落ちこぼれゼロ法」と同様な危険性を感じさせる、成績優秀な学校や地域には多くの補助金を、逆に成績の悪い市町村には補助金をカットするような「教育改革」プランが話題になっている。これらの行く末に何が待っているかも、貧困大国アメリカのレポが教えてくれる。
最近の日本社会が、経済的・政治的にあまりに多くの面で、堤さん所謂「貧困大国アメリカ」を追いかけている様子に、普通の日本人と思っている私もかなり熱くなり過ぎた感があるが、兎も角、日本国内も、自民党政権か民主党政権か大きな選択をすべき政治状況の中、この堤未果さんの力作は一読の価値はあると思う。
投稿者 kitamura : 2008年09月14日 23:30
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